「緑肥」ってあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、育てるのも簡単でかつ土壌にも良い肥料です。
今回はそんな緑肥についてご紹介していきます。緑肥を使うと時間は少しかかりますが、化学肥料に比べて微生物などの活動も活発になり豊かな土になります。
緑肥が使えるようになると安定して野菜なども育てられるようになるので、ぜひこの記事を読んで使ってみてください。
- 緑肥の効果
- 緑肥の使い方
- 緑肥のメリットデメリット
もくじ
そもそも緑肥とは?
緑肥とはその名前の通り緑の肥料ということなんですが普通の肥料のように土に撒いて植物の栄養素になると言うわけではありません。
タネを撒いて緑肥が育ったら裁断して土にすき込んで土壌に返還させることで土の栄養になる肥料なんです。
耕作放棄地などに生えている雑草なんかをすき込むのも緑肥ということになります。
もちろん有機物の量は緑肥に比べたら少なかったりしますが。
よく目にするのが春先コメ作り一発目の耕起の時に田んぼに生えている、クリムゾンクレーバーやレンゲなどがあります。
作物の裏作によく利用されているのでよく注意してみてみると近所の農家さんも緑肥を使っているかもしれませんよ!
緑肥は育てて土にすき込んで肥料になる
緑肥のソルガムはとうもろこしにそっくり
簡単に育つ緑肥
育て方は簡単です。
畑に蒔いて覆土は種子の7〜8倍なのでバーっと畑に撒いてそれからロータリーで覆土したのでも全然発芽します。
ただほとんどの緑肥が播種して覆土した後に転圧したほうが発芽率がアップするので転圧を忘れないようにするのが大事だと思います。
タネは手で蒔いてトラクターで覆土するだけでOK!
緑肥の種類はたくさんあるので自分の目的にあったものを使用するのが良いと思います。
- 有機物を大量に補充したい
- 土壌の化学性の改善をしたい
- 窒素(化学肥料)を使う量を少なくしたいので窒素の補充に使いたい
- 水はけをよくしたい
- センチュウ被害を少なくしたい
- ミツバチの蜜田に使いたい
- 景観の維持に使いたい
などなど緑肥は種類によって効果が様々なので自分の圃場にあった使い方をするが一番です。
ちなみにいなかびよりでは、田助とネマックス、ソルガムをまきました。
田助とネマックス、ソルガム(テキサスグリーン)を選んだ理由
まず田助(セスバニア)ですが、これはマメ科の植物なんですね。
マメ科の植物は根っこに根粒菌がいるので土を豊かにしてくれます。
さらに直根系なため土の奥深くまで根を張るので排水性、通気性の改善が期待でき、ある程度の湿地でも問題なく生育して有機物の補充もできるので田助を選びました。
ネマックスも田助と同じくマメ科の植物です。
こちらも直根性なので畑の物理性の改善に効果があり、センチュウの効果も期待できるので選びました。
ソルガムは大量に有機物が補充できますし、土の中に残った肥料分を吸収してくれます。
肥料をやっていると作物に吸収されなかった養分が残り次の作物を育てる時に知らないうちに施肥過剰になった状態になっていて思うように野菜が伸びないという事態が起こります。
ソルガムを撒くと残った養分を吸収してくれて土壌のバランスをよくしてくれるクリーニングクロップの役割を期待して選びました。
ただソルガムも緑肥用は「つちたろう」「スーパーダン」などの方が緑肥専用って感じみたいで、テキサスグリーンは家畜飼料用みたいですね。
もちろん緑肥として使っても問題ないですが緑肥用の方が大きく育ち有機物の量が多いと思います。
どれくらいの期間ですき込めるようになるのか?
育ったら土にすき込んでいきます。
基本的に1ヶ月以上です。60日あればすき込んでいけるくらいに伸びると思います。
どれくらい育てるのかは品種によってまちまちですので自分が買ったものによるという感じです。
ただ気をつけたいのが土にすき込んだら分解されるまでに時間がかかります。
分解される期間は気温などにも左右されるので変化しますがすき込んですぐに作物を植える
ということはできません。
緑肥の後に何か作物を植える予定があるのならしっかりと「播種から成長して分解されるまでの期間」を計算していないと計画通りに作付けできないので注意が必要です。
かく言う自分もソルガムを植えて分解させてからニンニクを植え付ける予定を立てていたんですが、涼しくなってきたら思うように分解が進まなくなってしまってニンニクを植え付けるのが遅れてしまうという事態になってしまいました。
なので計画通りに進めるためにはしっかりと期間を確保するのが大事だと思います。
緑肥を使うことのメリット
とても便利な化学肥料を大量に施肥し続けていくと、時間とともに土が痩せていくんです。
収量がゆっくりと落ちてきて思ったように作物が育たないようになっていくと言うことです。
そうならないようにするためにしっかりと有機物を補充してあげて時間はかかるけど豊かな土にしていこうというのに役立つのが緑肥です。
長い目で考えていくと緑肥の方が土が豊かになっていくんです。
使い続けて行くとなぜ化学肥料では土が痩せていくのかと言いますと化学肥料は有機物が少ないんです。
畑の中にいる微生物のエサがなく土壌改良の効果がほとんどないのに対して土中の微生物のエサとなる有機物が補充できる緑肥が「土を豊かにする」という観点から見ると優れている訳です。
人間がヨーグルトや納豆などの発酵食品を食べると健康的に過ごせるのと同じです。
畑にいる微生物たちにエサをあた与えるには有機肥料を使うに限ります。
化学肥料を使うのはいいのですが、緑肥を使って土の豊かさを上げつつ、化学肥料を少なくすることができれば肥料代も浮くし、土は豊かになるしでいいことづくしという感じです。
近年の異常気象などで以前よりも土壌環境が大事になってきてますので、土作りを変えていくのに欠かせないのが緑肥です。
畑を豊かにしたいなら有機物の量に着目する
緑肥を使うにあたって起こるデメリット
圃場が何個もあるという農家さんなら良いですが、多種品目で回している農家さんは緑肥を植えてすき込んでいる間は圃場が使えなくなってしまうのでそこは緑肥のデメリットと言えるかもしれません。
2〜3ヶ月圃場が使えないとなるとかなり収入などにも影響してきます。
冬場とかにぐんぐん成長してくれるような緑肥があれば良いですがそうは行かないですし。
少しでも緑肥の効果を得たいと思っているのならとうもろこしを育てると良いかもしれないです。
とうもろこしを収穫した後にすき込んでやれば緑肥のとうもろこしを漉き込んだのと同じですし何よりも身を収穫できるので他の緑肥を植えた時よりもダメージは最小限で済むと思います。
他にもある緑肥のデメリット
ロータリーの場合は何度か往復しないと綺麗に土にすき込むことは難しいので緑肥を漉き込むのは労力がかかります。
モアを持っていれば良いですけど(すき込むのでハンマーモアの方が良さそう)モアを持っていないと刈払機で粉砕するかかるしかなく圃場が広いと労力が必要ですね。
短い緑肥はロータリーやプラウを使えばいいと思いますが、大きく成長するタイプの緑肥は細かくした方が早く分解されやすいですし、ロータリーにも絡まないので作業がしやすいと思います。
一番効率が良いのは大きいトラクターにプラウつけてすき込んでいくのがベストです。
緑肥を積極的に使っていくのなら規模に応じてある程度機械を揃えておく方が良さそうですね。
ソルガムと田助、ネマックスは柔らかいので刈払機とナイロンコードでも粉砕することは可能でした。
狭いのでこれでも良いですが広くなると時間がかかるので効率は悪くなりますよね。
あと種代はどうしてもかかる
もちろん、コストはかかります。
機械が必要になるかもしれませんし、種代もかかりますので全くのゼロコストでできるわけではないです。
それでも長い目でみると土が豊かになっていくと言う効果があるのでそこら辺はバランスだと思います。
緑肥の使い方は経営に合わせていく
土作りはすぐに効果があるかわからないことも多いですし、長い時間がかかるので経営的な問題も絡んで来ます。
いなかびより農園は出荷するほど作っていないので「この緑肥を試しに蒔いてみよう」と思ったらすぐに実行に移せますが出荷している農家さんはこのようにはいかないです。
どいう体系な農業にするのか考てしっかりと農業経営をしていかなければならないので大変です。
圃場が広ければトラクターのアタッチメントを増やしたりしないといけないです。
ただ長い目で見ると地力UPしてくれるのは間違いないので地力UPをしたい人は緑肥を使っう経営の方がいいのかもしれません。
あと排水性が悪くて思うように作物が育たないところでも緑肥なら育つ場合もありますのでこういう時も積極的に使っていくのがいいのではないでしょうか。
いろんな手間がかかりますが、化学肥料ばかり使うのはどうなのだろうかとか、もっと土のことを考えて農業をしたいなんて方には持って来いだと思います。
まだ初めて使ったばかりなんですけど、色々感じたことを書いてみました。
これからも緑肥を使い続けていきますのでこれからも緑肥のことは、レポートしていきますよ!